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馬賊戦記

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主要変化紛れはこちらを参照 変化紛れ

第1図

第1図

第1図より
36成香、27玉、46成香、26玉、36角成、17玉にて第2図。

雌伏ニ十数年のときを経て、発表されたった一枚の歩のために余詰。
悲劇の名作と謳われた「馬賊戦記」(余詰め修正作)の全貌がここに。
黒田氏行方不明の後、わたくし首猛夫と素田黄氏とコンピュータによって完成。
万全を期して出題したものの、余詰。(73歩を追加して完全)
危ないからその筋を消してと置きかけた歩を紛れが少なくなるからと・・・
悔やんでも悔やみきれない、選択の誤りだった。
本作は出題図から121手かけて、63角が63馬になる!作品。
そのために、馬が行ったり戻ったりする。
まずは、36角成と引き付けて、馬鋸が始まる。

第2図

第2図

第2図より
62馬、16玉、52馬、17玉、53馬、16玉、43馬、17玉、
44馬、16玉、34馬、17玉、35馬引、16玉にて第3図。

まずは、左の馬を35まで引き付ける。
これは、二枚の馬をパズルのように玉から離して、繰替えるのが、最初の鍵。
引き付けた後に、下の図ように二枚の馬が動き、空間を広げる。
これは玉の自由度を増すことによって、打歩打開の局面を増やして、
馬が外へ出ることが可能になる。
この後、◎52馬型を得る ◎46成香⇒47成香 ◎47成香・34馬型で72まで馬鋸
◎72馬⇒61馬へ ◎もう一方の馬を63へ という展開を見せる。
ここで鍵となるのが、73歩の存在だ。

第3図

第3図

第3図より
25馬上、27玉、45馬、17玉、35馬右、16玉、34馬左、27玉、
45馬寄、26玉、44馬右、25玉にて第4図

第3図からの二枚の馬は下の図のように、動いていく。
その結果、第4図となって、36馬・35馬型⇒45馬・44馬型となって
見事に、空間が広がり成香がからんで、馬が外へ出て行くことが出来る。






 
     
   
   
 
     
 
     
 
     
 
     
 
     
 
     
 
   
   
     
 
   
   
     
 
   
   
     


  35    35  ⇒ 45    45  ⇒ 34    34  ⇒ 44

  36  ⇒ 25    25  ⇒ 35    35  ⇒ 45    45



第4図

第4図

第4図より
35成香、16玉、43馬、26玉、36成香、27玉、46成香、26玉、53馬、16玉(イ)にて第5図

第二の鍵が52馬型(63〜74〜85のラインを確保する)を得ること。
そうすることによって、後に47成香を同玉と取られ、左辺に逃げられる変化を
馬を85へ引いて詰ますことができる。
そうして、第5図だが、変化(イ)が厄介だ。
(イ)で25玉は、以下35成香、16玉、52馬、26玉、36成香、27玉、46成香で作意51手目の
局面と同じで2手早い。
これはこの展開が正解だとわかっていれば、単純に比較して結論を得られる。
しかし、暗中模索、何をどうしたらよいのかわからない時には、判断を保留にしたまま
この比較をも念頭に入れて、作業を進めるので、解く方は大変だと思う。

第5図

第5図

第5図より
34馬、27玉、63馬、26玉、35馬、16玉、52馬、27玉、45馬、26玉まで第6図

第二の鍵が、この52馬型を得ることだが、これは長い構想の一つの段階に過ぎない。
実に雄大な構想となっている。
ここで先ほども述べた73歩の存在が鍵となる。
52馬の次に、もう片方の馬が72まで行ければ、次に52馬を引き付けて、72馬⇒61馬
として、さらに引き付けた馬を再度出て行って、63まで持っていけば、収束に入れる。
しかし、73歩がそれを許してくれない。
そこで、ややこしいが、46成香⇒47成香として、後の47成香・34馬型で残った馬を
72まで運ぶことになる。

第6図

第6図

第6図より
44馬、37玉、47成香、27玉、A45馬、26玉、36馬、17玉まで第7図

なぜ、73歩が許さないのか?
52まで片方の馬が行った後、もう片方が72馬まで行くことはできない。
A45馬のところ、54馬として、以下26玉、36成香、27玉、46成香、26玉、
53馬上、37玉、47成香、27玉、63馬寄、26玉、36成香、27玉、46成香、26玉、
62馬上、37玉、47成香、のときに、同玉と取られる。
47成香に対して、玉がこれを取れるのは、44や53に馬がいるときはだめで、
73歩の影に入った62馬の時だけ。
逆に言えば、62馬の瞬間に47成香を同玉と取られ、詰まない。
そこで詰方は工夫が必要となる。

第7図

第7図

第7図より
53馬、16玉、43馬、17玉、44馬、16玉、34馬、17玉、35馬引、16玉にて第8図

そこで第三の鍵が、この46成香⇒47成香として、新たな馬鋸を得ることだ。
序盤で見せた馬鋸と同じように、25に接点を持って二枚の馬を繰り替える。
先ほどとはどこが違うのか?
それは、この形から、47成香+34馬のコンビネーションで残った馬を外へ出す
馬鋸が可能になるところだ。
37を47成香によって封鎖されたため、玉は枠の中でしか動けない。
そのため、もう片方の馬は73歩の影に邪魔されることなく、難なく72まで行く
ことが出来る。

第8図

第8図

第8図より
25馬上、27玉、45馬、17玉、35馬右、16玉、34馬左、27玉にて第9図

左の第9図から二枚の馬を繰り替えて、また新たな馬鋸の舞台が完成する。
そしてこの序盤の繰り返しのような二枚馬の動きはエコーとなっている。
本作には、五種類の馬鋸が出てくる。
ただそれが狙いではなく、あくまでパズルとしての面白さを強調した作品だ。
そうして、やっと念願の72まで辿り着く馬鋸が始まる。
しかし、この馬鋸は従来のものと違って、何か置き駒を取るとか、質駒を狙う
「ものを取る」馬鋸ではないので、目的がつかみにくく、解答者泣かせだ。
なぜ、初形に戻るのか、否、初形の63角⇒63馬にするのか・・・

第9図

第9図

第9図より
45馬寄、26玉、44馬上、27玉、54馬、26玉、53馬、27玉、63馬、26玉、
62馬、27玉、72馬、26玉、36成香、27玉、46成香、26玉、35馬、16玉にて第10図

詰将棋を解くとき、なぜこの駒が置いてあるのか?という製作者側から
見た視点で考えると案外簡単に解けることがある。
そういった、解答する際の「鍵」が盤面に落ちている場合は、まだいい。
そのような存在が影すらも見えない状態で、無限に行ったり来たり。
それも多種多様な馬鋸が存在して、解答するものは無限地獄をさまよう。
第10図に達してもなおその目的の影すら見えないだろう。
47成香⇒46成香に戻して、35馬、16玉の交換を入れたのは、72馬⇒61馬の
スイッチと、35の馬を63へ持って行く準備だ。

第10図

第10図

第10図より
61馬、27玉、45馬、26玉まで第11図

詰将棋には、「禁止事項」を設けると、それを迂回する順が生まれ、面白い状態に
なるときがある。
本作でいえば、73歩があるため、変化で84・95に馬が引くことが許されずに、
通常の形(第6図のところで説明)から、馬を62に持っていくことは出来ない。
そこで、実に大きな迂回を余儀なくされ、そのための準備がまた必要となる。
こういったもどかしさの究極の形が、初形の63角⇒63馬という変換だろう。
駒一枚を裏返すのに、実に120手を超える迂回が必要だった・・・。

第11図

第11図

第11図より
44馬、37玉、47成香(ロ)27玉、54馬、26玉、36成香、27玉、46成香、26玉、
53馬、37玉、47成香、27玉、63馬、26玉、36成香、27玉、35成香、26玉まで第12図

第11図からの馬鋸は、短いが第6図からの順が一度だけ出ている。
このときは、一度出た馬を馬鋸で戻すために舞台を作るためのものだった。
第11図からの47成香を同玉を取るとどうなるのか?
変化ロー47成香に同玉は、58銀、同玉、48金、67玉、94馬、76歩、59桂、68玉、
77銀、同歩成、58金まで。
同じように、馬が53にいるときも詰むが変化紛れはすべて最後に動く将棋盤で
説明してあるのでそちらを参照してもらおう。
さてものがたりは大団円を迎える、収束に入ろう。

第12図

第12図

第12図より
25成香、37玉、38歩、47玉、58銀、同玉、94馬、67金(ハ)にて第13図

初形で、63生角のまま25成香と行くと、以下37玉、38歩の時、46玉で詰まない。
馬なら、64馬以下5手詰み。
この変化のために、延々と120手も掛けたのだ。
そして、なぜ61・63馬型が必要かと言えば、第13図となって明らかになってくる。
94と引いた馬に対して、作意は67金合だが、67銀成という手がある。
変化ハー67銀成には48金、68玉、58金、同玉、として36馬と引く手がぴったりだ。
以下68玉、69馬まで。
つまり玉から遠い馬を使って最初の合駒を問うのだが、そのときに36に引ける馬を
残しておかなければ、67銀成が詰まない、そしてそれを可能にするのが61・63馬型だ。

第13図

第13図

第13図より
48金、68玉、67馬、同玉、85馬、76角(ニ)まで第14図

作意順を追ってもらえばわかるように、金合を67馬と取って、再度引く馬は
今度は85に引ける。
そしてこの85に引いた馬は、先ほどの変化ハに見るように36に引けなければならない。
だから63の地点に決定する。
そうしてもう一枚の馬が邪魔することなく58の玉に対して王手を出来るのは、61の地点
しかなく、二枚の馬の位置が決定する。
変化ニーここを歩合は、作意順の58金、同角成の順が省略できるので、2手早い。
この合駒はちょっと変わっていて、変化に備えて、角筋をそらすことが必要になるので
結果的に2手伸びるというもの。

第14図

第14図

第14図より
77金、68玉、58金、同角成、78金、同玉、79銀、87玉(ホ)88歩、同金、
同銀、同玉、89金、87玉、79桂にて詰上り図

先の76角合の2手稼ぎは、変化ホに現れる。
変化ホー79銀に69玉は、96馬、59玉、68銀、同玉、86馬、78玉、77馬まで。
このとき、58金、同角成の交換がないと、96馬に87歩くらいで詰まない。
さていよいよ、本作も終焉を迎える。
歩と桂を使い切っての収束は、限界だった。
二枚の馬が残り、不満もあったが、何しろ空間がない。
この全体の手順を作り上げるのに、空間が足りないくらいだった。
収束があっただけ救いものだと思った。

詰上り図


この詰将棋は、
1:空間に生じている歪みを捕らえ
2:それを整理して
3:比較して
4:目的を明らかにして
初めて解答手順が得られるという、新しい概念の作品だった。
発表時期が、当初予定していた昭和の時代ではなく、平成に入ってからだったので
評価もされたが、もしこれがあの時代だったら見向きもされなかったかもしれない。
それくらい、昭和の終わり頃は、繰り返し趣向や超手数作品がブームだった。
さてみなさんの評価はいかに・・・・