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縦型龍鋸(ブラック&林浩)

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Kifu for Java は柿木義一氏の著作物です

第1図

出題図

第1図より
97龍、83玉、84と、72玉、77龍、61玉、66龍、71玉(イ)
75龍、61玉(ロ)、64龍、71玉、73龍、61玉、52歩成、同香、
同香成、同玉、59香、にて第2図

左の第1図、出題時に余詰めだったものを2007年5月に首猛夫が修正したもの。
まず、縦型龍鋸で、73龍まで接近する。
この接近の目的は、5筋で清算して、第2図の香の遠打を打つためである。
本作の龍鋸原理はよくできていて、途中何を合駒しても、91角の潜在力で詰む。
例えば、(イ)の71玉のところ、62歩合だと、同龍、同玉、73角成、71玉、72歩、以下詰む。
同じように(ロ)のところ、72歩合だと、(イ)と同じように詰む。
気がつけば実に単純な意味づけだが、見たことがない。

第2図

第2図

第2図より
61玉(ハ)、64龍、71玉、75龍、61玉、66龍、71玉、77龍、
61玉、68龍、71玉、79龍、61玉、51香成、にて第3図

さて、第2図となって遠打を放ったものの、これを取られたどうなるのか?
(ハ)で59同龍は、41角成、同玉、45香、42桂、同香成、同玉、43龍、51玉、
63桂、61玉、41龍、51歩、同桂成、同龍、62歩、同玉、73角成以下詰む。
(ここが修正の一番苦労した点だ、これについては後述する)
いよいよ、龍が遠ざかる、意味づけはもちろん、玉方龍に狙いをつけるため。
二つの龍を閉ざしていた閂(かんぬき)を抜く51香成!

第3図

第3図

第3図より
同玉、41角成(A)、同龍(ニ)、71龍、52玉、41龍、同玉、にて第4図

第3図からの3手目、(二)同龍のところ、同玉としたら、もちろん49龍!
つまり、41角成に対する応手を同龍に限定するための一連の手段なのだ。
このための、遠打であり、龍が遠ざかる意味でもある。
だから、Aで先に71龍は成立しない。
Aで71龍は、61歩合、41角成、 同玉・・(同龍は作意に対する変化と同じ)以下不詰。
相手の手が、41同玉となって初めて、龍を71に入る。
実に、細かい綾で、こういうところが、逆に作品全体では雄大さに繋がる。

第4図

第4図

第4図より
43香、32玉(ホ)、42飛、21玉、22飛成、同玉、55角成、13玉、
15香、14銀、23とまで51手詰

ここからは収束、投稿原図は幻の収束だったが、飛車も角もみんなさばいて
見事だった。
今となっては砂上の楼閣に過ぎないが・・・
本作は、収束があっただけでも見つけものである。
(ホ)で52玉も同手数で駒も余らない。
尾岐れで少し味が悪いが、後述する修正の苦労を見ていただければわかる。
あまり駒数を増やさず、手数も伸ばさずが、修正の基本であった。

投稿原図

投稿原図

投稿原図

左の図は近代将棋昭和51年8月号に掲載された投稿原図である。
まず、作者名だがブラックとは無論黒田紀章六段のことである。
彼はいつも将棋道場で指将棋の合間に詰将棋を作っていた。
この作品を作っていた頃、ちょうど東大将棋部の林浩氏が同じ道場にいて
林氏にも少し変化読みなどを手伝ってもらったのだろう。

この原図には、いくつかの美しい点がある。
そのうちの一つ、59香に対する同龍の変化、41角は不成で行く。
61玉と逃げて、今回の修正図との差は、持駒が歩だからである。
そして、収束がすばらしい。

収束1図

収束1

幻の収束順

左図は、本局の白眉41角成を同龍と取り、71龍に61香と合駒したところである。
修正図とは異なり、71龍に52玉は41龍で簡単。
ちなみに、61歩合は、73角成、52玉、72龍、62香合、63馬以下詰む。
蛇足ながら、61香合に対して同じように73角成、52玉、72龍、と迫ると、
53玉!と立たれて、詰まない。

左図より
73角成、52玉、61龍、同龍、53歩、同玉、55香、54歩、44銀上、
52玉、54香、41玉、にて収束2図

収束2図

収束2

鮮やかな・・・

収束2図より
51馬、同龍、42歩、同龍、同銀成、同玉、62飛、41玉、52飛成まで。

51馬が、打歩詰打開の一手で、龍を奪っての大団円となる。
詰方の龍も角も消え、まさに理想の収束順で、特に61香合に対して、
73角成、52玉、72龍とするのが、53玉で 逃れたときに、作者はこの作品が
うまくいったと思ったであろう。
詰将棋の創作には、運がつきもので、知らず知らずのうちに、最善の配置を
最初から考えてたというときがある。
もちろん、長い間に多くの局面を経験して、それが影響しているのかも知れない。

余詰1

余詰1

思わぬところで・・・

左の図は、龍が遠ざかり始めたときのコース、73龍⇒64龍⇒75龍ではなく、
73龍⇒63龍⇒74龍、あるいは73龍⇒64龍⇒74龍と、とにかく74で
途中下車した図である。

余詰1図より
51香成、同玉、73角成、62歩、同馬、同玉、73と、51玉、52歩にて余詰2図。

まさかの51香成だが、角歩交換から84が 73に入っては危ない・・・
原因はどこにあるのだろうか?

余詰2

余詰2

42からの逃げ道

余詰2図より
同玉、63龍、51玉、62龍まで。

左図となっては、簡単。
ではどこが原因かといえば、余詰2図(左図)で42へ逃げ出せることが必要。
ここを塞いでしまっては、この余詰順は消せない。
しかし、ただここで収束の余詰めを消せば済むわけではない。
いろいろな条件を崩さずに、直さなければならない。
特に本作は、空間処理で変化と紛れを分けているので一層大変な作業となる。

修正1図

修正1

変化と紛れ

修正に当たっては次の点を確認しなければいけない
@まず、42の地点を空けてこの余詰を消す。
A新たな収束を得る
B香の遠打を同龍と取られたときに詰む。
C41角成に同玉が詰む。
D41角成と71龍の手順前後を許さない。

@とBのために修正1図をすぐに考えた。(図は遠打を龍で取ったところ)
丸で囲んだAのところは、「42の利きははずす(紛れを逃れさせる)が、
43の地点に呼んで(変化を)詰ます」仕組みになっている。
その「詰ますため」に41歩⇒41香と配置も換えた。

再掲第1図

出題図

運も味方・・・

上の要素に加えて、収束を作りなおかつ、CDも満たす配置。
25銀は、角を36に引かさないためと、@の余詰めを消す配置。
例の52歩を打った(=余詰2の)局面で、以下42玉、43桂成、同龍、同と、同玉、
44飛、33玉、の時の34飛を防いでいる。
これに31歩と22成香で完全作が得られたのは、まさに運としか言いようがない。

歴史に残る作品と、わたくしは思っている。
龍鋸のメカニズムの秀逸さが生んだ、限定打と龍鋸。
剣の達人でもあった黒田氏は「抜き胴」をイメージしていた。