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黒竜江龍鋸作品

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Kifu for Java は柿木義一氏の著作物です

第1図

第1図

第1図より
42飛成、13玉(イ)53龍、12玉、62龍、13玉(ロ)まで第2図

黒田氏は龍鋸作品を6作残している。
1作は縦型龍鋸(=ブラック&林浩)で、残りは基本的な構図が本作と同じものである。
香と香が向き合って、頭からたたく駒があれば、出来上がる。
すばらしい省エネルギーエンジンの発明だ。
その第1作が本作だが、構想が秀逸である。
(イ)ですぐに飛合をするとどうなるのか?
それは後でわかる、何と62歩が邪魔で玉は逃げられず、早く詰む。
同様に、(ロ)で22飛合は13歩以下、本手順同様に追い詰められて、82が壁となる。
将来発生する逃路のために、わざと龍に取らせる・・・。

第2図

第2図

第2図より
73龍、12玉、82龍、32歩(ハ)にて第3図

話が前後するが、龍鋸に対して合駒するとどうなるのか?
例えば(ロ)で22歩合は、13歩、同玉、24銀、12玉、23銀成まで。
従って、飛合(香は品切れ)となるが、これはいつでも出来る。
飛合は玉方の方にタイミングを選ぶ権利がある。
(ハ)の32歩中合は不思議な中合である。
龍鋸や馬鋸に中合など成立するはずがない。
しかし、現実にこの作品の龍鋸に32歩中合が成立する。
これは、@将来の逃路のためにA歩を取らせる龍鋸をさせるがB香までは取らせない。
という物語になっている。

第3図

第3図

第3図より
同龍、13玉(ニ)43龍、12玉、52龍、13玉、63龍、
12玉、72龍、22飛にて第4図

第3図からの手順は、玉方最長手順そのものである。
(ニ)ですぐに飛合は早い、龍鋸や馬鋸特有の手数延ばしによる鋸順だ。
これには、いくつかの理由付けが考えられる。
本作の場合は93成香を狙う龍と、ぎりぎりまで手数を延ばそうとする玉の攻防。
多く見られる「質駒」狙いだ。
蛇足ながら龍鋸の場合、のこぎりの波形にちょっとした非限定が生まれやすい。
本作も43⇒52⇒63⇒72としているが、33⇒42⇒53⇒62というのも、もちろん正解になる。
龍鋸作品の宿命だ。

第4図

第4図

第4図より
13歩、同玉、22龍、同香、53飛、43歩(ホ)にて第5図

この黒田式龍鋸発生装置は、これを壊して次の展開を得るのが妙味。
飛合⇒歩で叩いて⇒飛を龍で取り⇒5筋へ限定打⇒43歩中合という流れ。
この流れが新たな展開を生む。
(ホ)の43歩で12玉は、22香成、同玉、25香、31玉、32歩以下詰む。
そこで、この43歩で打歩詰に誘致する、これを43飛成と取れば、上の順で32歩が打歩詰だ。
さりとて、この43歩を同飛不成は以下12玉、22香成、同玉、25香、32玉で詰まない。
この手順はこの龍鋸発生装置では一塊のようなもので、このセットで「仕事」をする。
さあ、次の第5図以下、歩を取らせた効果が現れる。

第5図

第5図

第5図より
同飛成、12玉、22香成、同玉、25香、31玉、
33龍、41玉、42歩、51玉にて第6図

香を取って香を打つ。
龍鋸の舞台が取り払われ、龍の追撃が始まる。
33龍から玉がかわして、第6図となる。
ここで、もし盤面に玉方62歩があったら、そう31龍までの1手詰み。
この局面のために、62歩を取らせたのである。
まあ、意味づけとしてはかなり高級だが、解く分にはさほどむずかしくはないだろう。
ちなみに第6図で5筋に歩が打てると、52歩以下簡単な詰み。
55歩は何と余詰め消しの駒だった。

第6図

第6図

第6図より
53龍、61玉、62歩、71玉、73龍、81玉、82歩、91玉にて第7図

投稿原図では、この「将来の逃路のために、序盤で龍に歩を取らせる」という
手筋が、一回だけだった。
これを反復して、論理性を強く打ち出すように変えたのが本作。
第6図からの順も同じように、進んで玉を端に追い込む。
93成香は合駒制限のためと、収束のためである。
ここからはやさしい追い詰めとなる。

振り返って、本作は32歩の中合が命である。

第7図

第7図

第7図より
92歩、同玉、84桂、同成香、93歩、91玉、71龍まで51手詰

先にも述べたように、龍鋸に中合と考えると、少し気が遠くなるではないか?
おそらくこのような表現でしか、龍鋸に中合は成立しない。
ところで、世の中にはすごい人がいると感じたのが、馬鋸に中合?を完成させた鉄人だ。
鉄人こと加藤徹さんは、すばらしいアイディアで馬鋸に中合を成立させた。
本作は、成香までは取らさないためのもので、一回限り。
鉄人は、馬鋸で歩を取られる瞬間に歩中合をしてその入手を遅らせる仕組み。
それを使って何回も可能にしている。え?それじゃ歩があまるって?
その循環手順で、1歩消費するんだね、奇跡的な作品だと思う。

詰上り図

詰上り図

この鉄人の作品は、おもちゃ箱、加藤徹全作品のNO.157だ。
そしてその解説を、詰パラ大学院担当のわたくしが請け負った。
前衛的な賞でも差し上げるべき作品だと思う。

本作はその後、「カルマの法則」「日向木挽歌」「猿知恵」「ブラック&老板」などに
発展していった。
そしてその発展を可能にしたのが、省エネタイプの龍鋸発生装置だ。
今の若い方にも、是非この装置を使って、新たな構想を立てていただきたい。