修正案

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 まず、余詰順がどのように修正されたのかを見てみよう。
 紛れ1図は修正図での作意順20手目の局面。
 ここから、龍を74に据えて、91の角を成って合駒を稼ぐ順で原作はつぶれた。
 それは狭い局面で起きた絶対的順で、救済は不可能に思えた・・・。


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紛れ1図
←動く将棋盤の名前  紛れ1図より
 74龍、61玉、51香成、同玉、73角成、62桂、同馬、同玉
 73と、51玉にて紛れ2図(原図の余詰順を追ってみる・・・)

  ブラック&林浩氏作品は、その解説のところでも述べたように
  何と余詰だった。
  しかし、その余詰作品の収束は目を瞠るような美しいもので、
  何とかこれを生かす方法はないかと必死に考えたが出来なかった。
  しかし、般若一族の掲示板に「名無し」氏が提案した修正案は
  見事なまでに、収束をそのまま生かして修正できた。
  双玉!にしたのである、これは気がつかなかった。
  紛れ1図〜紛れ2図、この局面で、原作は63桂以下簡単だが・・・

紛れ2図
←動く将棋盤の名前  紛れ2図より
 63桂、52玉、54龍、53歩、51桂成、同玉、53龍、52角にて逃れ

  紛れ2図から5筋に追い込んで、龍の利きで終了のはずが・・・
  何と、52角合の逆王手があった。
  まさに、発想の転換、これには想到し得なかった。
  まことに見事な修正案で、この見事な収束を生かせたのは
  奇跡に近い。
  ところが、黒田氏はその生涯の作品で双玉作品が一つもない。
  今となっては、その趣旨や考えを聞くことはできない。
  わたくし個人に考えでは、双玉大歓迎なのだが・・・


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               ここからが、修正図での新たな解説。
               眠っていた、斬新な収束が復活した。
      
  

第1図
←動く将棋盤の名前  第1図より
 97龍、83玉、84と、72玉、77龍、61玉、66龍、71玉(イ)
 75龍、61玉(ロ)、64龍、71玉、73龍、61玉にて第2図

  まず、縦型龍鋸で、73龍まで接近する。
  この接近の目的は、5筋で清算して、第2図の香の遠打を打つためである。
  本作の龍鋸原理はよくできていて、途中何を合駒しても、91角の潜在力で詰む。
  例えば、(イ)の71玉のところ、62歩合だと、同龍、同玉、73角成、71玉、72歩
  以下詰む。
  同じように(ロ)のところ、72歩合だと、(イ)と同じように詰む。
  気がつけば実に単純な意味づけだが、見たことがない
  合利かずの龍鋸や、延命策としての龍鋸に比べ、実に機能的論理的に出来ている。

第2図
←動く将棋盤の名前  第2図より
 52歩成、同香、同香成、同玉、59香にて第3図

  ここで5筋を清算して、遠香を打つ。  
  この59香は複合遠打のような構想を伴っていて、遠打の中でも高度な
  感触を持っている。
  その後、縦型龍鋸で遠ざかって、その遠打の意味が浮き彫りになる。
  この余詰修正案は、原作の持っている変化紛れをそのまま内包している。  
  本譜の最終手59香に同龍と取るとどうなるのか?
  原作の変化は見事である。
  しばし考慮されたし・・・

第3図
←動く将棋盤の名前  第3図より
 61玉(ハ)、64龍、71玉、75龍、61玉、66龍、71玉、77龍、
 61玉、68龍、71玉、79龍、61玉、51香成、同玉、41角成(A)にて第4図 

  さて、59香の遠打から縦型龍鋸で遠ざかって、いよいよその意味が判明する。
  玉方龍と詰め方龍が一枚の香を挟んで、相対する。
  そうしておいて、閂(カンヌキ)をはずすかのように51香成が炸裂する。
  対して、同玉に立て続けの大技、41角成。
  さてこれを、同玉と取る変化のための、遠打と縦型龍鋸の複合手筋。
  本譜の最終手41角成に対して同玉に、49龍を用意しておくためだった。
  さて、変化(ハ)《61玉で、59同龍》はどのように詰ますのだろうか?
  それともう一つ、本譜の最終手(A)で41角成ではなく、71龍と先に入るのは?

変化1図
←動く将棋盤の名前  変化1図より
 41角不成、51玉、71龍、61歩、52歩、同龍、同角成、同玉、
 42飛、53玉、44銀上、63玉、74龍まで

  変化1図は、59香の遠打を同龍と取った局面。  
  何と41角不成と行かなければならない。
  41角成では、61玉で何と打歩詰で×。
  そこで、不成と行けば今度は61玉には、62歩以下簡単。 
  玉方の51玉と引く一手に、71龍から、5筋の清算から飛を打って
  解決する。  
  それにしても見事な変化ではなかろうか。

第4図
←動く将棋盤の名前  第4図より
 同龍(ニ)71龍、61香(ホ)にて第5図

  第4図の41馬の前に、71龍と手順前後するのは、    
  61歩合とされ、それからの41角成には同龍ではなく、同玉と取って  
  詰まない。
  また、変化(ニ)、41角成に対しての同龍ではなく、同玉は49龍で詰む。
  そして、71龍と飛び込んで手に、61香は意外。
  なぜ、61歩合ではダメなのか?
  それは、61歩合では、73角成、52玉、72龍、62合、63馬、51玉、41馬以下詰み。
  ところが61香合とすれば、73角成、52玉、72龍のとき、53玉で詰まない。

第5図
←動く将棋盤の名前  第5図より
 73角成、52玉、61龍、同龍、53歩、同玉、55香、54歩

  眠っていた角が73に成り返る。
  龍で香を取り、歩を一つたたいて香を放つ。
  対して桂合なら、44銀上、52玉、54香、41玉、53桂と打って詰む。
  さて、これから始まる見事な収束は果たして正算なのだろうか?
  だとすれば大変なことだが、黒田氏の作品には逆算と言うのはまずない。
  煙詰やあぶり出しに一切の興味がなかった。
  つまり逆算は論理的な手法の中での話しで詰手順では一切行わなかった。
  これが正算とはにわかに信じがたい話だ。

第6図
←動く将棋盤の名前 第6図より
 44銀上、52玉、54香、41玉、51馬、同龍、42歩、同龍
 同銀成、同玉、62飛、41玉、52飛成まで57手

  銀が出て、41玉となった局面で打歩詰。
  そこで最後の主役馬を51へ放り込んで、龍を呼び寄せる。
  呼ばれた龍は悲しいかな、打歩打開の餌食にされてしまう
  果たして清算したところで、奪った飛を離して詰む。
  この一端は諦めた見事な収束を甦らせてくれた「名無し」さんに
  心より感謝。
  ただ、原作者黒田氏の作品には一作も、双玉作品がないことなどを
  考えて、修正の案の一つとしてここに掲載する。悪しからず。